2010年01月13日
Oh☆EDO天晴れ物語~part 3~
この日
Oh☆EDOは晴れていた。
町並みにも活気がみられ
人の出も多くなる。
枯葉の舞は 白拍子~♪
ひらり ひらりと~
まわって おちる~♪♪
意味不明の歌をうたって騒いでいるものもいる。
そんなOh☆EDOの喧騒の中を
すたすたと一人の女が歩いていく。
kanaである。
昨日、shuの店に呼ばれて訪ねたところ
お庭番の頭であるshuから
新しい仕事の命を受けたのだ。
『・・・お姫様の護衛ね。』
心の中で
そうつぶやきながら
目的地へと足を進めた。
上からの命令は、
いつも突然だが
今回はいつも以上に急だった。
護衛をする<KYOU姫>は、
明日 このOh☆EDOへやってくる。
それも
お供ただ1人つれてのOh☆EDO入りだ。
『絶対に・・・何かある。』
きっと
仲間全員が思っていることに違いないが
必要以上に集まるのは危険なので
それぞれが <その明日>に向けて動くこととなった。
あとは
お互いの信頼関係と行動力、
そして
言葉なくしても出来るコンビネーション
にかけるだけ。
次第に空は
オレンジがかかる。
「今日も、Oh☆EDOは綺麗だわ。」
kanaは、1枚の立て看板の前で 足を止めた。
「・・・これね。」
看板には、噂の懸想売りが売っている懸想文と同じ内容のものが書かれていた。
『一体いつからここに・・・。』
kanaは、改めて看板を見
そして
rikaから預かっていた懸想売りが売っていたという文とを照らし合わせた。
「へぇ・・・噂の 懸想文はこれかい?」
「!?」
すぐ隣で男の声がした。
「shunさん!!」
「よお!久しぶり!!」
男は、kanaを見てニコリと微笑んだ。
「どうして、ここに?」
kanaは、
自分よりも背の高いshunを見上げるかたちで慌てて訊ねた。
「どうして・・・って、最近kanaがつれないからアイツから居場所を聞いたまでだ。」
軽く笑って答える。
「・・・銀ね。」
ため息と共にkanaの声。
shunは笑って聞き流し、今度は声を低くしてkanaに訊ねた。
「今度は、この件で動くのかい?」
「・・・ええ。」
「申すも はばかることなれど
わが国が おんひめは
衣通姫も ただならず・・・か。」
shunは、懸想文の内容を口に出して読んだ。
kanaは、黙っている。
shunは、kanaを一度見ると
「なぁ、茶でも行かないか?」
と誘った。
kanaは、少し考えてから二コリと笑って
「ええ。」
と
答えた。
このshunという男は
Oh☆EDOでは有名な呉服屋の一人息子で
商いを手伝い、なお時間を作っては剣道道場に通っている。
その剣術の腕前といったら、道場の師範も舌を打つほどで
わずか14歳にして、師範代と名乗る許しを得たほどだ。
そんなshunに惚れ込んだ師範は
自ら、shunの両親に土下座をして
「是非、養子に!」
と頼んだほどだという。
shun当人は
「剣術は、心を鍛えるため。いつかは立派な商人のになるつもりだ。」
ときっぱり断り両親は感動の涙を流したというから
まるで絵に描いたようないい男ぶり。
それから程なくして 両親は流行り病でぽっくりと逝き
店を継いで商いをしている。
お店は、代が変わっても相変わらず繁盛しており
今も 度々 道場へ通っては剣を振るっている。
まさに文武両道。
そんなshunが、
kanaに出会ったのは今から2年前。
ある事件がきっかけだった。
その事件というのはkanaがshuのお庭番に入るきっかけとなった事件なのだが
そこでshunと知り合い
それからというもの
shunもshuの仕事を影で支えている。
お上もそれを承知しており、いわば同士のような存在なのだが
kanaとは、もうひとつ違う関係性を持っている。
「なるほどね。そいつは、急な話だな。」
「そうなんですよ・・・。」
小さな杯を口に含んでは
軽々と飲み干すshun。
「相変わらず、お強いですね。」
kanaが、笑った。
「男が女を誘って、先に酔いつぶれるわけにはいかんさ。」
shunは、そう言うと
kanaの杯に酒を注いだ。
「ああ、もう結構です!」
kanaは、そう言うと注いでもらった杯に1口だけ口をつけると杯を置いた。
「・・・風が冷たくなりましたね。」
「ああ。」
「久しぶりにお会いしましたね。」
「ああ。」
「今日は、お仕事でしたか?」
「ああ。」
「もう!shunさん、さっきから<ああ>ばかり!!」
「あはは。悪い、悪い。なんだか誘ったのに今頃になって緊張してきたから。」
そういってshunは、また一口
持っていた杯に口をつけた。
「もう、そうやってまたからかって!」
kanaも杯に口をつける。
それから一時ほど立って二人は店を出た。
「忙しい時に悪かったな。誘っちまって。」
冷たい風が2人の間を通り過ぎる。
「いいんですよ。ワタシも・・・shun様にお会いしたかったので。」
kanaがshunを見つめた。
その眼は、とても優しく澄み切っている。
shunは、真っ直ぐにその眼を見つめ返すと
「・・・明日は、気をつけろよ。」
とだけ告げた。
「・・・はい。」
「・・・送ろう。」
2人は、歩き出した。
ゆっくりと空がオレンジに染まり
もうすぐ夜がくる。
「明日は<晴れ>だな。」
「そうだね~。」
黒髪の女・・・rikaが答えた。
「・・・なあ、rikaちゃん。」
「なぁ~にsawaちゃん??」
「<今回の本当の目的>はなんだい?」
sawaが、身を乗り出して聞く。
sawaもshu、kana同様
今回の任務にある<真相>がイマイチはっきりしていなかった。
「何のこと?」
rikaは、さっぱりわからないというような顔をすると
石段から立ち上がった。
「じゃ、そろそろ帰るから また明日ね!!」
そして
「そうそう、明日の任務だけどただ姫を送るだけなんだから、そんなに考え込まない方がいいよ。」
とsawaに言った。
「どういうことだ?」
sawaが石段から立ち上がる。
「もう、本当に<人間って感情的>なんだから~。」
rikaが、長い髪をかきあげる。
sawaがもう一度、rikaに聞く。
さっきより強い口調だ。
「どういうことだ?」
rikaは顔をしかめて口を開く。
「あ~、もうわかったから。」
sawaの眼は真剣だ。
「だから・・・今回の任務は、護衛といってもただ姫をお城へつれていくだけ。」
そこまで言って
息をひとつ吐くとrikaは、
「<偽者>のね。」
と付け加えた。
外はすっかり暗くなり
Oh☆EDOの町も昼間の賑わいをなくし
つづれ屋の看板は 営業終了を知らせていた。
本日の営業は終了致しました。
また、誠に勝手ながら明日の営業は都合によりお休みとさせていただきます。
つづれ屋 店主
Posted by Favorite Sunday at 23:04│Comments(0)
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